
7月上旬、およそ9日間に渡り、初夏のフランスワイン産地、ブルゴーニュ地方とシャンパーニュ地方を、12名のお客様と一緒に訪ねてきました。ここのところの日本の暑さからは想像もできませんが、その週のフランスの気温は低く、朝晩は冷え込んで日中でも20〜22度程度。首に巻くスカーフを忘れて、後悔した涼しさでした。

久しぶりに足を運んだ銘醸地、ブルゴーニュ地方では合計5つのドメーヌ(ワイナリー)を訪問させてもらいました。瀟洒なシャトーが立ち並び、ガイドを雇って受け入れ体制万全のボルドー(特にメドック地区)とは異なり、ブルゴーニュはごく小規模で家族経営も多いため、商業的な受け入れはほとんど行っていません。建物も一農家という風情です。人手が足りず、また生産本数も少ないため沢山の見学者を受け入れるキャパシティーがないからです。世界中でひっぱりだこの高級ワインを造るドメーヌではまず受け入れてくれません。ただ、私の日本での役割と、日本からワインの愛好家の方をお連れするということで、なんとかアポイントを取ることができ、特別に受け入れてもらうことができました。
初日から、珠玉のワインを生む世界に名だたる村々、例えば、ジュヴレイ・シャンベルタンやヴォーヌ・ロマネ、ニュイ・サンジョルジュなどを縦断する、グラン・クリュ(特級畑)街道を、緑も鮮やかな一面のブドウ畑を眺めバスで走ります。見とれてしまう美しさです。個人で行かれる場合には、パリからTGV(高速列車)でディジョンまで行き、レンタカーを借りるとよいでしょう。ワインを飲む人も、飲まない人も、歴史的遺産に近い価値ある風景が広がり、代えがたい体験ができるところです。一生のうちにぜひ一度訪ねてもらいたいと思います。

グルメもここ美食の地、ブルゴーニュでは見逃せません。この近辺をワイナリー巡りする際に、お勧めのレストランが、ジュヴレイ・シャンベルタン村にある「Chez GUY」(シェ・ギィ)。ミシュランガイドの星は付いていませんが、おススメの掲載店であり、地元の人たちに愛されている、クオリティーの高い料理を出すお店です。それでいてスタッフは気さくで居心地がいいことが人気の秘密でしょうか。

訪ねた日も満席でした。総勢14名でお邪魔し、地元特産のエスカルゴやブフ・ブルギニヨン(牛肉の赤ワイン煮込み)を同村で造られたワインと一緒に味わい、忘れ難いひと時を過ごしました。最後のデザートもフランスでは大切な一皿です。アミューズ・ブーシュ(先付け)からはじまり、前菜、メイン、デザートとお昼とは思えぬボリュームをたっぷりと味わい、午後の訪問に備えました。
5つのワイナリーそれぞれで素晴らしい受け入れをいただき、2日間で合計35種類を超えるワインをテイスティングしました。なかでも白ワインの聖地、ピュリニー・モンラッシェ村では、名門ドメーヌ・ルイ・カリヨンを訪問する幸運が叶いました。出迎えてくださったのは現当主のジャック・カリヨンさん。まるで大学教授か研究者かという風貌で、印象に違わぬ大変分かりやすく、理路整然としたお話をお聞きしました。

ワインはクリアで精緻、ミネラル感たっぷりの最高に美味しいピュリニー・モンラッシェで、村名と第一級畑を4種比較し、加えてサント・オーバンの赤など計6種をテイスティング。日本ではまず手に入らないワイン(後に行ったパリの専門店でも入手不可能でした・・・)、当主のジャックさんと一緒にテイスティングするのは本当に貴重な経験でした。

中世の趣きを感じる薄暗いカーヴの中で樽に囲まれてワインを味わった後には、モンラッシェなど特級畑も訪ね、実際の土壌やブドウの樹も観察しました。ここから、飛行機で13時間も離れたおよそ地球の反対側にある日本。そんな遠くでも、遜色なくこの地の繊細なワインを楽しめるようになった時代。でもはるばる来て見て、感じることで、得られるものは代え難いものだなと、参加された皆さんのあふれんばかりの笑顔を見て思いました。

今回、定員一杯の総勢14名、ちょうどよい人数での旅となり、メンバーの皆様の人柄にも恵まれて、本当に充実した楽しい9日間でした。旅もワインも、誰と一緒に楽しむか、それが一番のキーワードですね。新婚旅行でツアーに参加したカップルもいて、最終日にはパリの一つ星レストランで、サプライズ・プレゼントをしたりと皆で祝福しました。とても喜んでもらい、こちらも幸せのおすそわけをいただいたようで嬉しく思いました。