松浦尚子のワイン日記

サンク・センス代表取締役社長/ボルドー国立大学公認ワインテイスター

botanikaご報告が遅くなってしまったのですが、当社クラブメンバーの方々と楽しんだワイン会のご報告です!さて、東京ミッドタウンができてはや一年、リッツカールトンのお披露目に一度お邪魔して以来、なかなか足を運ぶ機会もありませんでしたが、先日、親しくさせていただいている外務省の方から、ランチにお誘いいただき、見晴らしのよいテラスやガーデニングなど、開放的な雰囲気とモダンなインテリアがとても気に入ったのがこのボタニカでした。

英国の有名インテリアデザイナー、テレンス・コンラン卿の名前はご存知でしょうか?私が最初に、その運営店である、コンランショップに足を運んだのは、1999年ごろ、ロンドンにおいてでした。ヴァージン・アトランティック航空のCAをする友人宅にボルドーから遊びに行き、とてもお洒落で、こうしたインテリアに目のない彼女が連れて行ってくれたのを覚えています。それから、インテリアショップだけにとどまらず、ロンドン、パリでもテレンス・コンラン卿がプロデュースするレストランは注目度が高く、しばしば雑誌などに取り上げられていました。

皆さんと!ボタニカは、コンラン卿の日本第1号店。フレンチの名店「ひらまつ」とのコラボレーションにより、フランス料理をベースにイタリアンのテイストを取り入れたモダンヨーロピアン料理を堪能できるお店です。ワインは、以前開催したボルドー五大シャトーのセカンドワインセミナーで大好評をいただき、ぜひ料理と味わいたいとの声を頂戴した中から赤ワイン2種と、プレスティージュ・シャンパンをご用意しました。陽光が差し込む気持ちのよいお昼のひと時を11名の皆様とご一緒しました。

鴨と赤ワインさて、メインのスペイン産イベリコポークのソテー 香草マスタードソースには、ワインも本日のメインにあたる、五大シャトーのセカンドワイン2種を合わせます。ところで、まず、セカンドワインとは?について触れたいと思います。
世界最高級クラスの赤ワインを生み出す銘醸地、ボルドー地方のメドック地区を筆頭に、規模の大きなシャトーではとりわけ、セカンドワインの位置づけは重要です。この概念は、決して新しいものではなく、最も古い例では、レオヴィル・ラス・カーズでは100年以上前から、シャトー・マルゴーも同じぐらい昔からこうした選別を行ってきました。

例えば、シャトー・マルゴーの畑は、78haに及びます。(うち11.8haは白) 広い畑の中には、若木から収穫されたブドウや、日当たりや水はけ、地層の条件などから、他の区画よりもほんの少しですが、出来に違いが見られることから、グラン・ヴァンに準ずるものとして生まれたのがセカンドワインです。1980年代から90年代にかけて、以前にも増して、選別のプロセスにおける基準は厳しくなりました。ヴィンテージにもよりますが、生産量の35%から多い場合には70%にいたるまで、セカンドワインになる、さらにサードワインを造るところもあります。それだけに、現在では、セカンドワインの品質も年とともに向上していると言うことができるでしょう。

五大シャトー、つまり5つの中から、今回は、以下の2種を選びました。これは、当社のベイサロンで飲み比べを行ったときに、最も人気の高かったものを2つご用意しています。中には、食事と一緒だとまた好みも変るかもしれないと、料理との食べ合わせによる変化を確かめに再度お越しくださっている方もいました。


赤ワイン一つ目は、「PAVILLON ROUGE DU CHATEAU MARGAUX 2005 Margaux (パヴィヨン・ルージュ・デュ・シャトー・マルゴー/マルゴー村)。メルロー48%もブレンドされていて、ワインに生き生きとした輝きとふくよかな魅力を与えています。同時に、カベルネが、濃密さと慎み深さを添えることで、他にないバランスを保つことに成功しています。プティ・ヴェルドは、非常に控えめながら、欠かすことのできない隠し味で、ブレンドのマジックが生きています。2005年は、凝縮感が高く、アルコールもタンニンも十分でこれまでにないパヴィヨンに仕上がったと、マルゴーの醸造家自身も絶賛する出来で、圧倒されるほどの果実感と大きさをもった若さあふれる素晴らしいワインでした。これからの成長を見守りたい大型新人という感じでしょうか?(笑)

続いて、「LES FORTS DE LATOUR 2004 PAUILLAC(レ フォール・ド・ラトゥール / ポイヤック村)」。ブドウ品種は配合が大きく前者と異なり、カベルネ・ソーヴィニヨン65%、メルロー25%が主でした。ラトゥールは、ポイヤック村にありますが、ほぼサンジュリアン村との境に位置しています。五大シャトーの中でも、上記のマルゴーが女性的なのに対し、男性的で頑強、タンニンが濃密な、凝縮感を備えたワインと評されています。

個人的には、パヴィヨンの華やかさに圧倒され、印象的でした。それにしても、幸せオーラに包まれた、極上のひと時でした!メンバーの皆さん有り難うございました。