松浦尚子のワイン日記

サンク・センス代表取締役社長/ボルドー国立大学公認ワインテイスター

アンリさん、ギョームさんとブルゴーニュ地方の造り手、HENRI BOILLOT(アンリ・ボワイヨ)氏の来日を記念して開かれた、コート・ド・ボーヌ地区の白のグランクリュ、2006年ヴィンテージ4種をテイスティングする専門家向けセミナーにお邪魔してきました。

アンリさんで現在5代目となるそうで、今回は6代目にあたる息子のギョームさんを連れての初来日。冒頭の挨拶で、後ろに控えていた息子をまず紹介するあたり、さすが脈々と続く伝統を持つドメーヌだなあと感じました。さて、価格が沸騰し、話題になった偉大な2005年に続き、2006年もとてもよい年になったとのこと。7月は暑くなりすぎて、ふと2003年の再来を懸念したとのことでしたが、8月には気温が下がり、9月は素晴らしい日照に恵まれたとことで、ブドウは非常によい熟成を遂げることができました。

テイスティングの様子長い熟成によってその実力を開花させるのは赤ワインだけではありません。世界の筆頭である、偉大なブルゴーニュ地方の白ワイン、良年のものは20年〜25年以上を経てもさらに美味しいワインとなるのです。テイスティングの一本目は、「クリオ・バタール・モンラッシェ」、続き「バタール・モンラッシェ」、「シュヴァリエ・モンラッシェ」と、ほとんど同じ区画で、わずかな土地の差で異なる名前を持つワインたちです。ブドウの育て方も醸造の手法もほぼ同じとのことですが、明らかに味や香に違いがあるのは、全てテロワール(土壌と微小気候)の違い。本当に繊細に、土地の力を引き出すことができる優良な造り手のみがなせる技です。

試飲したワイン「クリオ・バタール・モンラッシェ」は、もっともエレガントで、女性的、言わば優しい味わいです。一方で、「バタール・モンラッシェ」は、力強く、より凝縮感のある、男性的なニュアンスを持っています。アンリさんが最も好きで高い評価を与える、「シュヴァリエ・モンラッシェ」は、透明感のあるクリスタルのような輝きを感じる、ミネラル感、酸のバランスも最高にとれた、偉大な「モンラッシェ」に並ぶ一本であるとおっしゃっていました。確かに、どれも素晴らしいのですが、総合的なバランスはこのシュヴァリエが勝っていると感じました。

アンリさんのお話セミナー終了後、アンリさんと色々とお話させていただくこともできました。今度、当社のイベントで、すしとワインの会をするのだが、これらの素晴らしいグランクリュワインをもし合わせるならば、どの「にぎり」なら合うだろうか?、試してみたいと言うと、ご自分も日本食とワインの組み合わせには大変興味があり、、次回来日された際にはチャレンジしたいとおっしゃってくださいました。世界を飛び回って、各地の粋を極めた食文化に触れているアンリさん、ぜひ感想をお聞きしてみたいと思いました!