松浦尚子のワイン日記

サンク・センス代表取締役社長/ボルドー国立大学公認ワインテイスター

サンティエゴの街角とにかく、チリは遠かった。約30時間のフライトを終えて、昨晩クタクタになって帰国した私としては正直その一言からはじまりますが、でもそれだけの時間を掛けても行く価値は十分あったすばらしい景観、そして温かい歓迎を受けた忘れられない滞在になりました。

街の様子さて、ワイナリー巡りのご報告の前に、まずは、一般的なチリの旅行情報などからお伝えしたいと思います。チリの首都サンティアゴには、アメリカン航空に乗り、成田からNY経由で、LAN航空に乗り換え、ペルーの首都であるリマで一旦羽を休めてからようやく到着。現地は春。事前のガイドブック情報では、平均気温は日本の11月とほぼ変わらなかったので、薄いセーターを持参したのですが、全くもって袖を通すことはないような、暑さ!季節は夏といっても差し支えない陽射しと、抜けるような青い空が広がります。一日の寒暖差が激しいチリでは、朝晩は冷え込みますが、日中は春でも30度を越すような天気でした。また、乾季には、全く雨が降らないため、滞在した6日間、一滴の雨も降りませんでした。それでもアンデス山脈からの豊富な地下水のおかげか、サンティアゴの街は豊かな緑にあふれ、新市街にあたるプロビデンシア地区は美しく整備され、ヨーロッパの街角を思わせるような雰囲気の一角もあれば、椰子の木がそそりたつ南国情緒あふれる風情や、真新しい高層ビルが太陽光を浴びて反射しているといった、言わば全てが入り混じった様相を見せていました。

サンティアゴの街中サンティアゴは550万人の人口を誇り、チリの全人口が1600万人であることを考えてもその集中ぶりが分かることでしょう。現在は、交通渋滞や排気ガスなど環境汚染の問題を抱えており、確かに、旧式の黄色いバスが排気口から真っ黒な噴煙を上げながら、5台も連なって縦横無尽に走る様には驚きを隠せませんでした。なんと、バスは個人経営で、路線図もないそう。いずれにせよ、外国人旅行者の強い味方は、タクシーとメトロ。メトロの片道が、340ペソ。1000ぺソが約225円という安さであるため、タクシーも十分気軽に使えます。


中央市場サンティアゴの街の観光としては、主に旧市街の中心にあるアルマス広場を拠点に、大聖堂などを見学して、昼食にはメルカド・セントラル(中央市場)へ。日本では見たこともないような魚が並び、チリの人たちは、結構日本語を知っていて気さくに話しかけてきます。圧巻なのが、巨大なアナゴ。現地語では、Congrio(コングリオ)と呼びますが、これをフィッシュ&チップス風に揚げたものがなかなかの美味しさ。市場では、ドンデ・アウグストというレストランで、ウニや魚スープも注文しました。ウニは日本で人気と知っているらしく、さかんに「ウニ、ウニ」と声を掛けられます。現地で、6800ペソといえば、なかなかの贅沢な一品ですが、日本円では1600円程度。お皿一杯にウニが出てきて(どちらかというとスープ状)、頼めば、キッコーマン醤油とわさびまで持ってきてくれるサービスぶり。でもチリでは、英語を話す人がほとんどいないので、手振り身振りで一生懸命会話しなくてはなりません。それも醍醐味ですね(笑)ウニ

シーフードは全般的にとても美味しかったのですが、私が特にオススメなのが、サーモンと、ヒラメとシーバス。オイスターは比較的こぶりでしたが、キャヴィアをつけて、6ピースで6500ペソなのには驚きました。チリでは、キャヴィアはそこまで高級品ではないのでしょうかね?

ビールとワイン肝心のワインについては、どんなレストランに行ってもワイン(Vino:ビーノ)がちゃんと置いてあって、主要な食中酒です。ビール(Cerveza:セルベッサ)も国産のクリスタルというビールがかなりメジャーだったのと、ハイネケンがすごいプロモーションを展開していて、乗ったメトロの一車両は全てハイネケンに埋め尽くされていました。

タパス夕食はスペインワインで有名な、Miguel Torresのお店が近くにあったのでちょっと足を運んでみました。大手の欧州ワインメーカーは、たくさんチリにワイナリーを持っています。ここで飲むのはもちろん、チリで造られたワイン。VINO&TAPASのお店で、気軽にグラスワインとちょっとしたつまみが食べられるようになっていて、少しずつ色々なものを食べたい日本人にはぴったりのお店。各Tapasに合わせて、小グラスで一つずつワインがセットになっているものもあり、おもしろい。でも不思議だったのは、アナゴとエビを使った白いソースの料理にメルローで、まぐろのタルタル(しょうが風味)にソーヴィニヨン・ブランが合わせてあった点。逆にも思いそうなところですが?どのワインもフレッシュで凝縮感があり、夜8時を過ぎても明るい外を眺めながらゆっくりといただく、幕開けとなった満足のいく夕食でした!