松浦尚子のワイン日記

サンク・センス代表取締役社長/ボルドー国立大学公認ワインテイスター

ここのところ小説を立て続けに数冊読み続けて、すっかり寝不足です。もともと読むのは速いほうだと思うのですが、面白いとやめられなくなって8時間ぐらい平気で読み続けてしまったりする悪い癖があります。もっとゆったりと一文一文をかみしめながら読めばいいのに、と我ながらせっかちだと思ったりします。

中でも本日は、今話題の「永久不滅のラブストーリー 私の頭の中の消しゴム」の原作文庫本を読みました。実はこの本の著者であり、映画の原作ドラマプロデュサーなのが木村元子さん、私のとっても親しい友人です。早く映画を見に行きたいと思いつつ、先にこちらの本を手に取りました。頭の中の消しゴム

女性なら誰しも、この原作の主人公薫の気持ちにすっと入り込めてしまうだろう、そう思えるぐらい薫はごく身近で、つい隣にもいそうな、それでいて誰よりも感受性の豊かな心の優しい女の子です。「あんなに人を好きになることがあるのだろうか」と考えた元彼氏がいたけれど、運命の人浩介に出逢うことができ、ほのぼのしてしまうような若々しい二人の恋の進展が薫の日記形式で綴られていきます。

あまりにも暖かい陽だまりのような二人の幸せを感じただけに、後半に薫が襲われた病気による、この「死よりも切ない別れ」を予兆させる出来事が起こる度に、言いようのない辛い気持ちになってしまいます。でも、人を愛するってすごいことなのだと思います。是非御覧になってください。

この原作ストーリーは東京での展開になっているのですが、なんと薫と浩介が11月18日浩介30歳の誕生日に行ったのが、表参道のフレンチレストラン「Cinq Sens」。実際にそんな名前のレストランはありませんから、元子さんが名づけてくれたと思うと嬉しくなってしまいました。ちなみに二人が勧められて飲んだワインは、「Saint-Emilion」。さすがです!

「毎年浩介の誕生日にはここに来たい。おばあちゃんとおじいちゃんになってもずっと同じお店に来るなんて素敵。」薫はそう書いています。あまりにも悲しいことに薫の願いは叶わなかったけれど。ふと、世界中のカップルが年を重ねる記念の日には、その日を彩る脇役として、記憶に残る一本のワインがあったら、素敵だなって思いました。