松浦尚子のワイン日記

サンク・センス代表取締役社長/ボルドー国立大学公認ワインテイスター

64-1昨晩、私がここのところ大変お世話になっているある有名弁護士先生の出版記念パーティーに出席してきました。いわゆるホテルの宴会場を借り切るお祝いのパーティーで、定時には会場に入りきれないほどの、紺や黒っぽいスーツに身を固めた50-60代中心の企業男性がマジョリティーを占める会でした。私はかなり異色の人であったかもしれません。
冒頭の40分間は次から次へと祝辞が述べられました。普通ならなんて退屈な、と思うかもしれません。でもこの会は違っていました。この時代にこれだけの人を惹きつけてやまない人を祝う人々の言葉は、とても真に迫っていて、現実味があり、学ぶところがありました。
某弁護士先生のスピーチの中で私が印象に残ったのは、氏がフジテレビとライブドア堀江社長の一連の事件に関し、非常に明快で素直な発言をなさったことでした。氏は、堀江社長の素晴らしい行いとして、彼が、起きる事象全てに対して「想定範囲内ですから。」と言い続けたことに感銘を受けたと、はっきりとおっしゃられました。そして、起き得てしまったことに対して、その渦中で経営者としてのリスク管理として「想定すべきだったことに対し起きてしまったこと」へ責任を取るべき立場にある人々が「それはルール違反だ」とか「金さえあればなんでもできると思うな」という言葉で応酬してしまったことに、率直にそれは愚かな発言であったことを指摘していらっしゃったところでした。

私のように比較的若年層のものですら、堀江さんのやりすぎとも言える行為には、応援はしたいまでも大丈夫かとはらはらしたものですが、齢60歳を超える先生の新しいものを受け入れることのできる余裕と、動じない自分の思ったことをはっきりとおっしゃられるまっすぐな姿勢に、本当に驚きとともにそのくったくのなさに感銘を受けました。これは、自らが正しいと思うことをまっすぐに述べる有り余る自信がなければできることではありません。なぜなら来場の方々の顔ぶれを見るにあたり、もちろんフジテレビ側のトップに近い人間も、またそこに告げ口をする人間もいたかもしれません。

ところで、人間一つは良いところがあるとして、私のよさを見つけて評価してくれる人が言ってくれた言葉に「素直」であることが挙げられます。私は誰かに対し、自分の意思とは違うところでへつらうことに嫌悪を感じますし、まさしく自分が正しいと思うことだけを今日まで貫いてきました。大変なことがあっても、それはこうして得ていられる「自由」との引き換えだと思えばなんら苦痛になりませんでした。私の良さである「素直」「率直さ」を持ち続けていくこと、それは何歳になってもできることだと、某先生の姿を見て実感をしたのでした。

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