松浦尚子のワイン日記

サンク・センス代表取締役社長/ボルドー国立大学公認ワインテイスター

 おととい、チリ人のダニエルさんにお会いしました。とてもひょんなきっかけなのですが、私が以前一緒にお仕事をさせていただいた会社の会長がたまたま飛行機の中でダニエルさんと隣席になり「ワイン」という共通項があって盛り上がり、わざわざご紹介いただける運びになったのです。ダニエルさんの本業は、世界NO.2の銅山会社の技術責任者。チリの名産ランキングは一位「銅」二位「サーモン」三位「ワイン!」だそうです。今回は経団連の招きで、南米や東南アジアの様々な国の技術者と一ヶ月の研修をしに来日したそうです。(トヨタやリコーへ研修に)
 チリワインといえば、値段の割りに美味しいワインとして有名です。しかし、アルゼンチン人の仲のいい友人はいたのですが、チリ人は初めて。どんな人なのかしらと半ば緊張しながら、待ち合わせ場所に行きました。実際「チリ人」というイメージもなかったわけですが、ダニエルさんは完全なるヨーロピアンな容姿。聞けばチリ人の多くがスペイン人の血を引くとのこと。そういえば公用語もスペイン語でした。

 チリの首都も思い出せぬまま話はじめた私でしたが、「サン・ティアゴ」だと気付き、また四季が逆転していることにも気付きました。今は春先でこれから夏に入るのです。ぶどうの収穫は3月末から。時差の話になるともっと混乱。ううん、チリは遠い国なのだと、3回飛行機を乗り換え、35時間を掛けてやっと日本に到着したダニエルさんの話を聞いて実感しました。

 余談ですが、コラム前号で紹介したフランス人画家のレミー夫妻を「スシバー」に連れて行ったときは失敗したなと思った私でしたが(レミーは生魚がほとんどダメ。うにやイクラは食べ物には見えない様子で仰け反っていました。美味しいのになー)、ダニエルさんは天ぷら専門店で、海老の頭から(天ぷらのご主人がスパイダーだ、などと脅したにも関わらず)シャコまでモリモリ食べつくしていました。「カンパイ」が気に入った様子で、何度も口ずさみつつお昼から飲む日本酒にすっかり上機嫌でした。やっぱり陽気。

日本庭園を歩くときにも、秋葉原で購入したソニーハンディカムをすっかり使いこなし、私がその便利さにうーんとうなり、会長が使い方を伝授してもらうという裏腹な結果に。。。さすが銅山技術者(違うか?)。

本題のワインの話も盛り上がり、ダニエルさんは友人と二人でサイドビジネスでワイナリーを経営している様子。1000ヘクタールの広大な土地にぶどうを植えているようです。規模が違います。

とても乾燥した温暖な気候で、ワイン造りに最適なMAIPO VALLEYにあるワイナリー。サンプルを送ってもらうことになりましたが、美味しければ是非現地を訪れてみたいところです。チリは貧富の差が激しく、10%のお金持ちが全てを握っている、そういう世界のようです。日本の治安のよさに本当に驚いていた様子でした。

世界の色々な国のワインがとことん飲める日本。バラエティーが本当に豊かです。私はフランスと比較できる強みをもっているわけですから、もっと精力的に違う国のワインをチャレンジしなくてはと思っていたところでした。現在注目中のニュージーランドの発泡ワインとチリワインをたくさん試してみたいと思っています。

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