松浦尚子のワイン日記

サンク・センス代表取締役社長/ボルドー国立大学公認ワインテイスター

今回は、「起業」というテーマでいつもとは違ったコラムを書いてみたいと思います。転職も当たり前の時代になって、「女性起業家」という言葉もだいぶ使い古された感があります。というのも、性別に関わらず、要は一人ひとりが自分の生き方について既成の固定概念に捕らわれることなく、真剣に模索する時代になってきたからでしょうか。
ベネッセコーポレーションという会社を辞めて渡仏し、現在自分で事業を立ち上げている私ですが、よく言う言葉があって、「勤める企業を辞めるのも一つの選択だし、残るのも一つの選択だ」ということです。一つの会社に居続けること、それは惰性や楽な道ではなく、一つの決断に他なりません。ただ、それが決断であることを意識して、現状に自問自答する継続的な働きかけが必要ではないでしょうか。現状を維持し、さらに発展させていくことも一つの大きな勇気にほかなりません。

ただ、自分で事業をしているのと雇われている側の意識として大きな違いがあるとすれば、前者である限り上記に記した自問自答する働きかけを毎日のように絶え間なく繰り返しているという点でしょうか。それは毎日が真剣勝負で、毎日が新しい発想を生み出すことのできる貴重な時間であることを認識しているか否かということに他なりません。

ふと目を留める新聞の記事、電車の車内釣り広告、ちょっとした友人との会話、様々なところでビジネスにつながらないかについて気を留めています。この意識は、おもしろくもあり、また気苦労も耐えないわけですが。。。

また、もう一つ加えるとすると「自分が本当に何をしたいのか」「将来の自らの理想像」を持っていないと難しいということです。くじけそうになって苦しいとき、人は誰でもついつい簡単な方へ、目先だけで行動してしまいがちです。なぜこの事業をはじめたのか、一体何をしたいのか、起業されていない方からみればは、そんなの分かっていて当たり前と思われるかもしれませんが、毎日が試行錯誤の段階では、その道が微妙にずれていくことが多いにありうるのです

私が日々思うこと、それは悔いなく、何に対しても一生懸命に取り組む毎日を送ろうということです。いい加減な気持ちでいい加減に物事を行うことほど、無駄な時間はないと感じています。アメリカで9月11日のテロが起きてから、ニューヨーカーの意識が大きく変わったというルポルタージュをフランスで見たことがあります。独身貴族で刹那的に生きていた彼らが、人間としての生き方について、周囲の人びとや愛する人との関係において、本当の心の豊かさは何かを問いかけはじめたきっかけがテロというものでした。

起業は「自分自身の生き方の問い」をする行為に他なりません。それが毎日を真剣に生きていることにつながっているのだと思います。ちょっと固いテーマになりましたが、新オフィスからのメッセージでした!

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